紫外線のお話 その2
毛髪や皮膚への影響
夏場の強い紫外線は、髪のケラチンを破壊し、キューティクルを浮き上がらせます。このキューティクルの損傷の特徴は、紫外線が原因の場合、キューティクルの「めくれ上がり」が観察されますが、パーマやカラーリングなどの損傷ではこの現象はほとんど見られません。
髪の毛は紫外線によっていためつけられると、ちょっとこすれただけでキューティクルが剥がれるようになってしまいます。
紫外線を受けると毛髪の構成アミノ酸中のシスチンが分解され、引っ張り強度が低下したり、水分を保持する毛髪中のタンパク質が破壊されるためバサツキが起こったり、過剰の紫外線を受けるとラジカル(不対電子を持つ原子や分子)の作用によりメラニンが酸化分解され、髪が赤茶けた色になったり、キューティクルの損傷や切れ毛に発展しやすくなります。
キューティクルが損傷して剥がれるとさらに髪の潤いを保つタンパク質や脂質がシャンプー時に溶出しやすくなり、髪は変色したり乾燥してパサつくようになって、強度が低下したり、水分保持力が低下するようになってきます。
毛髪は自己修復機能を持たないためダメージを受けるとそのまま損傷が蓄積されてしまうのです。
円形脱毛症の場合は適量の紫外線を当てて血行を促して発毛を促す治療法もありますが、男性型脱毛に関して効果があったというデータはありません。
少量の紫外線で皮膚を刺激することはプラスに働くこともありますが、多量の紫外線で皮膚を傷つけることは脱毛防止にとって大敵であるといえます。
日常でも日傘や帽子などで強い日差しを防いだり、目を完全に覆うサングラスを使用したり、紫外線防止クリームや紫外線防止機能を持つ日焼け止め剤や、ヘアメイク剤を使って紫外線対策をすることが大切になります。
UVケアのポイント
紫外線のスキンケア、スカルプケア、ヘアケアで最も大切なことは遮光対策です。サンバーンの原因であるB波は衣類によって70%が遮断されます。
できるだけ日陰で過ごすことや、日常でも日傘や帽子などで強い日差しを防いだり、目を完全に覆うサングラスを使用したり、紫外線防止クリームや紫外線防止機能(SPF値とPA分類でチェック)を持つサンスクリーン剤やヘアメイク剤を使うことをお勧めします。
曇りの日でも紫外線は降りそそいでいますし、地面からの照り返しもあり、特に晴れた日の雪山では80%も反射しています。砂浜では10~25%、アスファルトでも10%も反射していますので、あらゆる方向からの防御をおこなわなければなりません。
急激なサンバーンを起こしやすい人は特に厳重に対策をしておく必要があります。
毛髪のためのUVケアですが、肌用のように急激に損傷が起こる訳でないことと、サンスクリーン剤などもあとで述べるSPFやPAのように数値化した基準はありません。
なるべく日光を避けることが大切ですが、強い紫外線を浴びる場合は帽子などで髪を覆うか、UVケア用の乳液やクリームなどを肌だけでなく頭皮や髪にも塗っておくことをお勧めします。最近は使いやすいスプレータイプのものも市販されています。
急激なサンバーンを起こしたら早めに冷却で炎症の拡大を食い止め、ひどい場合は皮膚科でステロイドなどの抗炎症外用剤を処方してもらいましょう。
あとで述べるリコピンやベータカロテン、ゼアキサンテンなどのカロテノイドを摂取し、体の内部からも対策をしておくと良いでしょう。
海水浴は紫外線だけでなく、暑さによる水分の蒸発という内部からのダメージと、海水や潮風による塩分が加わるといった外部からの刺激が強くなります。おまけに暑いからといって水っぽいものばかり摂っていると、良質なタンパク質、ビタミン、ミネラルの不足を招きやすく、髪にとってはまさにダブルパンチの状態になってしまいます。
髪はパサパサになりゴワつくようになりますので、海水浴後は直ちに真水でシャンプーをしてしっかりと塩分を落としておきましょう。
プールの水も塩素を含んでいるので同じです。プールから上がったら真水で髪をよくすすぎ、最後に「ビタミンC配合リンス」をしておきましょう。ビタミンCの働きは遊離残留塩素を除く効果が高いのです。
リンスをしないで、プールの水で濡れたままにして、太陽にさらして髪を乾かすようなことは絶対にダメです。太陽は触媒のような役割をして塩素の働きを強めてしまいます。
海水やプールにつかったり、太陽に当たったりをひんぱんに繰り返すと、髪を保護してくれる自然の油脂分や、水分が除去されて生気のないガサガサの髪になってしまいます。
海水浴やプールを楽しんだあとには、失われた水分や油脂分、PPTなどのタンパク成分を継続的に補うことが大切です。
●SPF値(Sun Protect Facter)
化粧品が、UV-B(B波)による皮膚の紅斑を防止する力の度合いを表す数植で、数値が大きくなるほど防止効果は高くなり、SPF20は、肌に到達するUVBを1/20にするというものです。肌に何も塗らないと夏の海岸などでは、一般的に約20分間で日焼けしますが、20分×20(SPFの数値)=400分(=6時間40分防げる時間)で初めてその症状が現れてきます。
●PA(Protection Grade 0f UV-A)
UV-A(A波)により色を黒くする変化が起こるまでの時間をどれくらい延ばせるかを示したものです。
「+」 2倍~4倍に延ばす
「++」 4倍~8倍に延ばす
「+++」8倍以上に延ばす
●紫外線の障害を軽減
緑黄色野菜に含まれるリコピン(トマトに含まれる赤い色素など)や、ベータカロテン、ゼアキサンテンなどのカロテノイドに、紫外線による皮膚への害を軽減する作用があることが、カゴメ総合研究所と徳島大医学部の寺尾純二教授の動物実験で確かめられています。
マウスに100g当たり各種カロテノイドを50mg添加した餌を3週間食べさせたあとに背中の皮膚を採取し、紫外線を4時間照射した結果、カロテノイドを与えなかったマウスの皮膚は過酸化脂質が増え、抗酸化作用を持つタンパク質が減少していたのに対し、カロテノイドを与えたマウスは、過酸化脂質の量や抗酸化タンパク質の減少が抑制されており、カロテノイドに紫外線から皮膚を守る作用があることが確認されたといいます。
難しいことを、たくさん書いてきましたが紫外線対策として参考になれば幸いです。